教育委員リレーエッセィ
 〜このページは、教育委員6人が京都府の教育など、折々の想いをお伝えするものです〜
     
最終更新 平成20年9月 
     
   自分に自信を持つ −自己紹介を兼ねて−
   委員長 大橋通夫  
               
  「衝撃波による気体物性の研究」が教養課程修了後の大学生時代後半3年間の研究課題でした。名前だけからは何の研究か皆目不明のことと思います。希望して配属の研究室で、「超音波による物性研究」で数々の実績を持つ指導教授すら未知の新分野に放り出されました。
 
 超音波を遙かに凌ぐ超高温・高圧の衝撃波の中では一瞬、プラズマ状態が実現し、その挙動から電離気体物性を解明しようとする研究でした。
 
 衝撃波発生装置の製作、衝撃波強度測定装置の製作、プラズマ強度測定装置の製作。英文の気体力学関係参考書を枕に、1名の同期生とともに、装置製作は日中、計測は夜間(大音響とプラズマ状態計測装置の制約による)を繰り返しました。専攻は化学だった筈。然し化学を忘れて機械・電気・非平衡の熱力学、非平衡の統計力学を学習しました。成果は、各種気体成分の衝撃波強度とプラズマ強度の関係を解明する程度に留まりました。新たな研究分野の開拓者としては充分な成果だったと、今更ながら思っています。
 
 研究が社会人として何に役立ったか?直接的にはゼロです。然し、何に直面してもゼロから再出発できる自信を得たことは確かです。
 
 石油会社に就職して、初任者研修終了後の最初の職場が軽油の品質改良研究。1油種でも奥深いものの、希望してプロパンガスからアスファルトまでの全油種に携わりました。第一次オイルショック後、太陽光利用研究を経て新燃料開発に携わり、千に3つの山師(地質屋)に変身してウラン鉱石探査の2つ目でヒットしました。

 父が亡くなる3年前に、14年余勤務の会社から呼び戻されて幼稚園勤務。一大変身を遂げて25年。

 自分に自信を持てば何にでも挑戦できるものとの確信を大学で学びました。(多分あり得ない)再変身に備えて、今でも自然科学分野を中心に単行本を読み漁っています。自信は、博学=雑学の統合に支えられる処大です。
2008.9